本展は、美術作家 宇加治志帆による4度目の個展となります。
作品を「自らを映す鏡」と考える宇加治は、自らの生きかたと作品との関係を見つめながら、
平面を中心とした作品を展開してきましたが、近年では、人が身につけるアクセサリーや衣服、
また、生活を行う場としての住居におけるインテリアなどが、それを用いる個人にとっての
表現ツールとしての役割を持ちうることにも着目し、活動の場を広げています。
“Reading everyday”と題された本展では、「生きかた」のより細部へと目を向け、
「人生を構成する一日一日」を動機とした作品を展開しようとしています。
「その日食べたもの、身につけた心地よい組み合わせの衣服、大切な人と交わした会話、
よい音楽や文学にふれたこと、そういった、『私』を構成してきたさまざまな細部は、ともすると
簡単に日々の隙間を零れ落ちていってしまう。それらのかけらを拾い集めて、『私の中にあるもの』を
大切にする生きかた、表現のしかたをしていきたい、と考えるようになりました。」
日常のさまざまな瞬間から「美」を掬い取り、作品に結晶させようとする作家の、新たな歩みを
ご高覧いただけますと幸いです。
(上記フライヤーより抜粋)
【展示風景】
【作品画像】
土に落ちた薔薇、泥の中の水晶
キャンバスにアクリル
2016
花と嵐と
木製パネル、綿布にアクリル、板にアクリル、樹脂、母の刺繍、土
409mm x409mm 2016
イヴ・サンローランの映画、cosmic wonderのTシャツ
木製パネル、キャンバスにアクリル、樹脂、Tシャツ
2016
野性の鏡
木製パネル、綿布、板、アクリル、樹脂
2016
スマートフォンで日常的に撮影している写真たち
壁画を描き、さらにその上に平面作品「彼女や私のための背景01」を設置
絵の右側には、村上春樹の小節「ねじまき鳥クロニクル」のあるページをコピーしたものを展示した
彼女や私のための背景01
木製パネル、キャンバスにアクリル、綿布に布用絵具
2016
誰が書いた楽譜
ジークレープリント、アクリルマウント
1000mm x 1000mm
2012
サウンドアーティストの田中真由美と宇加治志帆による共作。ジョン・ケージの「偶然性の音楽」のように、制作過程における「作家としての判断」をできるだけ避け、「偶然≒神の配慮」に委ねようとした試み。
1/4円にカットした画用紙を26色に分けし、それぞれにアルファベットと音階を当てはめ、田中と宇加治それぞれが、それぞれの自宅にて4枚のカードを見ないで引いた。
引いたカードを円形に並べ、インスタグラムに投稿。1日2回ずつ行う。
この行為を49日間実施した後、記録を1つのビジュアル作品とした。
このビジュアル作品を「楽譜」とみなし、演奏した録音物とともに展示。
Learning to be human –地の塩-
ポスター A1(564mm x 841mm)
2015
2015年7月に開催されたART OSAKA 2015にて発表。9名の友人にモデルを依頼し、彼らからおのずと差し出されてくるイメージに、作家自身が彼らに投影するファンタジーを重ねたコスチュームを制作。
モデルたちが音楽とともに回廊を練り歩くパフォーマンスを実施した。
写真は、会場となったホテルグランヴィア大阪の25階から27階の各フロアの窓辺にモデルが立ち、回廊の対岸より撮影したものである。
photo for poster by Yasushi Ichikawa
A Night Flight
綿布に顔料絵具
2015
心臓に咲いた花を神に捧げる/スカート
綿布に顔料絵具
写真
2016
心臓に咲いた花を神に捧げる/家具
木製パネル、綿布にアクリル、樹脂
2016
右:贈り物のドレス
綿布に布用絵具
2015
左:夜道で見つけた赤い花、あなたに見せたかった
木製パネルにアクリル、キャンバスにアクリル、樹脂
2016
撮影:早川智彬
photo by Tomoaki Hayakawa